不動産投資コラム

住宅ローンで節税対策をするには?|控除の仕組みと活用法を解説

住宅を購入する場合、節税の方法が最も気になることの一つでしょう。

住宅を購入する際には、いくつかの税制優遇措置がありますが、その中でもっとも有名なのが「住宅ローン控除」です。住宅ローン控除を活用することで、所得税や住民税から控除されるため、かなりの節税効果が期待できます。

この文書では、住宅ローン控除制度について詳しく解説し、節税につながる活用法についても紹介しています。住宅ローン控除の制度や節税について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

住宅ローン控除の概要

住宅ローン控除は、住宅購入を支援するための税制優遇制度です。この制度を利用することで、所得税や住民税の一部が控除され、住宅購入者の負担を軽減することができます。2022年には法改正が行われ、控除率や控除期間が変更されました。

ここでは、住宅ローン控除の目的と制度の概要、および2022年の法改正による変更点について説明します。

住宅ローン控除の目的と制度の概要

住宅ローン控除は、個人がマイホームを購入する際に住宅ローンを利用し、一定の要件を満たすと所得税や住民税の一部が控除される制度です。

この制度の目的は、住宅購入を促進し、個人の資産形成や家族形成を支援することです。具体的には、住宅ローンの年末残高に対して一定の割合で控除が適用され、所得税や住民税が軽減されます。これにより、住宅購入者の負担が軽減され、住宅市場の活性化につながります。

正式名称は「住宅借入金等特別控除」と呼ばれています。控除の対象は、新築・中古住宅の取得や増築・改築などで、一定の要件を満たす場合に限られます。

2022年の法改正による変更点

2022年1月1日以降、住宅ローン控除の制度が一部変更されました。

変更点の一つは、1%から0.7%になったことです。さらに、住民税から差し引ける金額は、2021年末まで所得税の課税総所得金額等の7%(最高13.65万円)でしたが、2022年から所得税の課税総所得金額等の5%(最高9.75万円)に引き下げられました。

一方で、控除期間は10年から13年間に延長されました。この変更により、より長期間にわたって控除を受けることが可能になりました。

しかし、2022年以前に住宅ローン控除の適用を受けている方は、以前の控除率や条件が適用されるため、注意が必要です。

住宅ローンを控除を利用するメリット

上記のとおり、住宅ローンを利用し住宅ローン控除を利用すると、所得税や住民税の控除を受けられます。一般的に、住宅ローンは数千万単位で組む方が多いため、毎年数十万円の控除を受けられる住宅ローン控除の制度は、かなり節税効果が高いといえます。

住宅ローン控除を受ける最初の年には確定申告が必要です。2年目以降は、会社員は年末調整により減税を受けることができます。

住宅ローン控除の適用条件

住宅ローン控除を利用するためには、一定の適用条件があります。

適用条件には、新築・中古住宅の取得等の要件や、住宅ローンの返済期間や金額の条件が含まれます。以下では、住宅の取得要件や住宅ローンの返済期間や金額の条件について詳しく解説します。

新築・中古住宅の取得等の要件

住宅ローン控除を受けるには、新築住宅や中古住宅を取得、または居住を開始する必要があります。

また、省エネ性能等の高い認定住宅等については、借入限度額が上乗せされる制度があります。

2022年1月1日以降、住宅ローン控除の対象となる借入限度額は、購入する住宅の種類に応じて4段階に設定されました。性能の高い住宅を購入すると、より多くの控除を受けることができるようになりました。

住宅ローンの返済期間や金額の条件

住宅ローン控除を利用するための返済期間や金額の条件として、住宅ローンの返済期間が10年以上であることが必要です。

控除される金額は、住宅ローンの年末残高に対して0.7%の減税が適用され、最長で13年間にわたって所得税額から控除されます。

具体的な計算方法としては、住宅ローン残高の0.7%分が毎年、納めた所得税・住民税から戻ってくるという制度となっています

住宅控除計算の方法

住宅控除とは、税金や所得などに適用される減税措置で、一定の条件を満たすことで税負担を軽減することができます。控除計算には、控除率と控除期間が重要な要素となります。

控除率と控除期間の説明や、例題を用いた具体的な計算方法を詳しく解説します。

控除率と控除期間

控除率は、所得や税金に対してどの程度の割合で減税が適用されるかを示すパーセンテージです。控除期間は、その減税措置が何年間適用されるかを示します。

2022年1月1日以降、住宅ローン控除の制度が一部変更されました。2022年以前に住宅ローン控除の適用を受けている方は、以前の控除率や条件が適用されるため、注意が必要です。

2022年1月1以降

控除率:所得税の課税総所得金額等の7%
控除期間:13年間

2022年以前

控除率:所得税の課税総所得金額等の1%
控除期間:10年間

制度の改正で、控除率が下がった一方で、控除期間は10年から13年間に延長されました。

住宅控除の計算方法

では、新制度の方で実際に住宅控除を計算してみましょう。 ある年の住宅ローン残高が3,000万円だった場合、その年の控除額は以下のように計算できます。

住宅ローン残高 × 控除率 = 控除額なので 3,000万円×0.7%=21万円となります。

住宅控除の金額をシミュレーションしてみよう

住宅控除のシミュレーションは例を見るだけではピンとこない人も多いでしょう。なぜなら、収入や住宅ローンの条件が異なれば同じ金額の住宅を購入しても結果が異なるからです。モデルケースを見ているだけではなく、具体的な金額を入れて計算できる「住宅 ローン控除シミュレーション」を活用してみましょう。

こちらのサイトでは、さまざまな条件を指定することで具体的な控除額がわかります。
 https://www.eloan.co.jp/home/sim/deduction/fine/

住宅ローン控除の活用方法

住宅ローン控除は、ローンの組み方や返済方法、または他の税制優遇措置と組み合わせることで、より節税効果を高めることができます。ローン返済は長期間にわたるのが一般的ですが、この期間中に税制や優遇措置に変更がある場合もあります。

定期的に返済内容を見直したり、利用可能な税制優遇措置がないか確認することも大切です。

住宅ローン控除を最大限活用するためのポイント

1.夫婦ペアローンを利用する 夫婦共働きの場合、2人でローンを組むペアローンを利用することで、各々が住宅ローン控除を利用することができます。

2.住宅ローンの借り換えを検討する 住宅ローン控除の控除額は、年末時点における住宅ローン残高により決定されます。控除額を最大限に活用するためには、住宅ローンの残高を適切に管理しましょう。

3.繰り上げ返済を行う 住宅ローンの繰り上げ返済を行うことで、住宅ローンの金利負担を軽減することができます。繰り上げ返済により、住宅ローンの残高を減らすことができるため、住宅ローン控除の控除額が増えることがあります。

他の税制優遇措置との組み合わせ

住宅購入を支援する税制優遇措置は、住宅ローン控除以外にもいくつか存在します。

・住宅取得税の減税 住宅取得時にかかる税金である住宅取得税が減額されます。この減税制度と住宅ローン控除を組み合わせることで、住宅購入時の負担を軽減できます。
・登録免許税の減税 不動産取得時にかかる登録免許税が減額される制度です。これも住宅ローン控除と組み合わせて活用することで、住宅購入時の税金負担を軽くすることが可能です。
・住宅耐震改修特別控除 既存住宅に一定の要件を満たす住宅耐震改修を行った場合、所得税額から控除される制度です。住宅ローン控除を組み合わせることで、耐震性能を向上させた住宅の購入費用を節約できます。
・住宅特定改修特別税額控除 バリアフリー改修工事や省エネ改修工事を行った場合に、所得税額から控除される制度です。住宅ローン控除を組み合わせて活用することで、バリアフリーや省エネ対策を行った住宅の購入費用を節約できます。

これらの税制優遇措置を住宅ローン控除と組み合わせて活用することで、さらなる節税効果を期待できます。ただし、一部の税制優遇措置は住宅ローン控除と併用が制限されている場合があるため、各制度の詳細を確認し、最適な組み合わせを選択することが重要です。

また、住宅を購入する際にはこうしたアドバイスをしてくれる住宅販売会社を選ぶことをおすすめします。利用できる制度だけではなく手続きについても親身にサポートしてくれる会社や担当者を選びましょう。

まとめ

住宅を購入する際には、住宅ローン控除は非常に重要な制度です。

住宅ローン控除を活用することで、所得税や住民税の控除を受けられるため、かなりの節税効果が期待できます。住宅ローンを受ける際には、入念なシミュレーションで比較検討することが重要になります。

さらに、他の税制優遇措置を併用することでさらに大きな節税につながることもあります。住宅を購入する際に節税に詳しい専門家やアドバイスをしてくれる住宅販売会社を選ぶことをおすすめします。